炭素と黒鉛の分類について

黒鉛分類

黒鉛は鉛ではありません

黒鉛は結晶が発達した炭素であり、英語ではGraphite(グラファイト)、別名では石墨とも呼ばれます。

黒鉛の種類について

黒鉛には天然黒鉛と人造黒鉛の2種類があります。天然黒鉛はその結晶状態によって鱗片状黒鉛と土状黒鉛の2種類に大きく分類され、鱗片状黒鉛は銀黒色で薄片状の外見をなし、土状黒鉛は黒色で土状の外見をしています。

人造黒鉛はコークスやピッチを原料とし、超高温にて人工的に黒鉛結晶を発達させた黒鉛であり、主に製鉄用の電極として使用されます。

黒鉛詳細分類

鱗片状黒鉛関連製造フロー

鱗状黒鉛フロー

黒鉛の中でも鱗片状黒鉛からは様々な製品が製造できます。

西村黒鉛で扱っている製品の半分以上が鱗片状黒鉛を元に製造された製品になっています。

世界の天然黒鉛鉱山について

世界の天然黒鉛鉱山

この地図上にあるように世界にはたくさんの天然黒鉛鉱山があります。
日本が輸入する黒鉛の多くが中国からのものになりますが、地政学リスクを担保するため中国以外からの原料ルートも確保しています。

黒鉛の5大特性

5大特性

黒鉛はこれら大きな5つの特性を持ちます。
これら特性が黒鉛の価値をさらに高めているのです。

  1. 耐熱性

    還元雰囲気(酸素を絶った状態)では3550℃までの耐熱性

    酸化雰囲気(酸素のある状態)では500℃程度より灰になっていく

    3550℃以上になると気体へと昇華する(液体の黒鉛は存在しない)

    溶融軟化しないうえ高温になるほど更に強度が増す

    炉などの高温になる場所に使用されています

  2. 潤滑性

    重なり合った黒鉛結晶がずれることによって潤滑する

    自己潤滑性を持ち合わせているので無給油でも使用可能

    高温でも効果を発揮する固体潤滑剤として使用される

    摩擦調整剤としてブレーキパッド等に使用されています

  3. 導電性

    帯電防止用のフィラーとして各種材料に添加される

    文献による理論上の導電性は10-4Ω㎝

    電磁波シールド材としても用いられる

    導電性塗料などに使用されています

  4. 熱伝導性

    一般的な放熱用途に用いられる金属材料に比べ、酸化されず軽量

    金属代替材料として軽量化が要求される箇所にも使用される

    放熱性樹脂などに添加剤として使用されています

  5. 耐薬品性

    各種薬品に触れる部分の劣化を防ぐ

    各黒鉛は化学的に安定で強酸・強アルカリに対して非常に安定

    塗料などに使用されています